着付けのコツ

きれいに着付けするためのチェックポイント

きれいに着付けするには、どんなところをチェックすれば良いでしょうか?

このコラムでは、美しい着姿を作るための体型補正をはじめ、着崩れを防ぐポイントなど、プロによる着付けのコツを順にご紹介していきます。

着物を着る時に直面する着崩れ問題。せっかく綺麗に着付けても、着崩れてしまうと美しい姿も台無しになりますよね。着崩れの原因とその解決法のちょっとしたポイントをお伝えします。これだけで着物は崩れにくくなります。

着崩れの主な原因は、主にこの三点が原因だと考えられています。

  • 自分の体型に合わせた補正ができていない
  • 腰紐をしっかり締めていないため緩んでくる
  • 洋服着用時と同じ所作・行動をしている(丁寧に小さく動くという作法ができていない)

そのため、この三点をしっかりと抑えておけば、着崩れを防ぐ事が出来ると言えます。
今回は、上2つのポイントについてご紹介いたします。

着物姿に合わせたボディラインの作り方(体型補正)

まず、原因の1つ目”自分の体型に合わせた補正”の仕方をご説明します。着物を着る際の注意点。着物着付けはできるだけ丸い筒型をイメージし、寸胴に補正することで崩れにくく、美しい着姿が出来上がります。洋服を着る際にはくびれや胸の膨らみを強調することが美しいとされる女性のボディラインですが、着物や浴衣を着る際はその反対で凹凸をできる限り少なくすることが美しいボディラインを作るポイントになります。
ブラジャーはワイヤーがないものでスポーツブラのように胸をこんもりとさせないものを選びます。胸の大きな方はスポーツブラのようなものの中でも胸をしっかり潰してくれるような胸の高さを抑えるサポート力が強いものを選びましょう。和装ブラはサポート力が強く、胸をしっかり潰して、平らにしてくれるのでおすすめです。色は着物に響かないお色が良いでしょう。白っぽいお着物の場合、お着物によっては下着が透けてみえる事がございます。注意しましょう。
体のラインは常に筒型を意識しましょう。凹凸をなくす為に、タオルを使います。体型にもよりますが、基本的にはフェイスタオル3枚を使用します。1枚は後ろの腰の窪みに。後の2枚は胴に巻いていきます。

薄くて使いやすい薄手の白いフェイスタオル(約33×80cm)がおすすめです。(温泉タオルなどとも呼ばれています)
白の方がいいというのは着物の色が薄い物の場合、色が透けて見える場合があるからです。濃い地の場合は色は気にしなくて大丈夫です。薄手の物がおすすめの理由は薄いと体型によって増やしたり、減らしたりする事も簡単にでき、速乾性もあります。綿100% が多いので汗も吸ってくれて、着物や帯への汗写りからも守ってくれます。

タオルの形成など面倒な方には市販されている補正パッドおすすめです。こちらは、マジックテープでとめるだけで紐で止めたり、タオルの形成の必要もないのでとても便利です。着崩れも防いでくれます。

胸元はしっかり胸を覆うように左右襟を胸にふわっと被せ、紐、伊達締め等で止めます。この紐は苦しくならないよう、きつくは締めずきちっと抑えるイメージです。襟元の崩れを抑えます。
デコルテラインの窪みが気になる方にはハンドタオルを三角形に折り、窪みを無くせばより一層綺麗に着ることができますよ。

腰紐の締め方

着物着用の際、腰紐はしっかり締めましょう。腰紐が緩いと裾が下がってきて、直すのにも一苦労します。
苦しいという方もいらっしゃいますが、先程の補正をしっかりすれば、紐はタオルの上に巻いて締めますので思うほど苦しくなることはありません。

もし、お手本通りにきっちりと締めているにも関わらずまだ痛いと感じる場合、腰ひも位置を少し変えて締めてみたり、タオルをふわふわな物に変えたり、少し工夫をしてみましょう。
ご自分自身の骨格や体型にあった箇所にあてていれば、腰ひもは、本来締めても苦しくなりませんし、痛くもならないものなのです。着物着用前にご自分自身で確認しながら締める場所を見つける事もとても大切です。腰ひもをしっかり締められているか、着付けしている間にしっかりと確認することが、重要です。

紐以外にも伸縮性のあるゴム素材を使用している市販の物もありますので、もし紐が上手く結べない、紐はやはりきつくて苦しいという方はこちらもお試しください。
紐が不安な方でも、安心して使用できて着崩れも防ぎます。ご自分自身に合うアイテムを取り入れてみると、不安やストレスから解消されます。メッシュ素材の物もありますので、汗かきの方はこちらがオススメです。

胸が大きい人は、着物を着ると太ってみえるともいわれており、胸の大きな生徒さんから解決法の相談も多いです。
胸が大きくても美しく着付けできる補正方法や着付けのポイントをご紹介します。
着物着用では腰の部分に帯を巻いてしまうため、補正しないと帯の上にボンッと胸が乗ることで艶かしさも出てしまい、お腹も出ているように見えてしまいます。
胸が大きいと胸元も開きやすく、胸元も崩れやすいです。ここでのポイントは、胸を抑えて胸を小さく見せることです。筒の大きさをコンパクトにするのです。サラシやタオルなどで胸を押さえつけ、その上から着付けします。胸の膨らみがなくなることでバストとウエストの凹凸差もなくなり、スッキリした見た目になります。
サラシや薄手タオルを巻き付けてというやり方が一般的ですが、自分サイズに作る事もおすすめです。面倒な方には市販用されている和服用の補正用下着もありますので、自分に合う補正用下着を見つけてもいいと思います。

着崩れの直し方のポイント

ポイントの通りに着付けを行っていても、着崩れてしまうことがあります。その場合には、どのように直したらよいかをご紹介いたします。

衿元修正したい時

衿元の緩みを直すときは、直したい衿元を手のひらで抑えながら、その衿の先を意識して着物をめくりあげて、衿の延長線上の衿先を流れに沿って下にクイっと引っ張ります。
胸元の緩みがある時は、前側のおはしょりを下に引っ張ってください。衣紋が詰まったことによって衿が緩んだ場合は背中心を(背中の真ん中の線)を真下に引っ張り、衣紋を抜きます。立ったり座ったりした際の背中のシワには背中側のおはしょりを両手で摘んで真下に軽く引っ張ります。脇のしわは脇の部分を持って、脇の皺を伸ばし、余った布は脇下に集め、引き下げます。
これで着崩れ、シワが伸びます。

裾が下がった時

真っ直ぐ立った状態で身ごろの擦れを直し、下がってきた部分を少しずつ摘んで引き上げ、おはしょりの下に入れこんでください。後ろの場合も同じです。鏡をみて裾の長さを確認して、裾線を整えます。全体の長さがわからない、姿見鏡がない場合は、裾を上げて踏まない長さにします。
裾が下がったまま歩くと、非常に危ないため早めに直しましょう。

おはしょりが崩れた時

帯が緩んで下がってきてしまったときは、帯枕の下あたりの場所にタオルを折り畳んで帯の下に挟み込みます。帯と体の間隙間を埋めることによって帯がしっかり締まります。
前帯板に沿って、薄手のボール紙を入れて落ち着く時もあります。
帯の状況によって、これらの応急処置を取り入れて試してみてください。

男性着物の着崩れについて

男性着物は、帯の位置が重要です。女性の帯位置とは異なり、腰に乗せて帯を締めます。常に腰の位置に帯があるようにします。帯が上がってきてしまったら、帯の脇部分を両手でつかみぐっと下に引き下げます。着物の直し方は女性のものと同じです。


着崩れを防止するために、以下のポイントが大切です。

  • 自分の体型に合わせた補正をする
  • 腰紐をしっかり締める
  • 所作を丁寧に小さく動く

大きな着崩れ防止の為、立ったり座ったりした際はちょこちょこチェックして、お直ししましょう。

とはいえ着物の着崩れは、多かれ少なかれあるものです。
しっかり対策してできてしまう多少の着崩れは着物の魅力でもあるので、あまり気にしすぎないようにしましょう。

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